Phan Thi My Tien




滋賀県大津市の元会社員・清水佳佑さん(38)。
妻と幼い子供たちと4人で暮らしています。

清水さんは3年前、
会社の健康診断をきっかけに肺腺がんが見つかりました。

○清水さん
「すごく落ち込みましたし、
 モノクロの世界になったという感覚があって。」




がんは最も進行したステージ4。
手術で肺の腫瘍を取り除きましたが、がんはリンパ節にも転移。
次第に抗がん剤も効かなくなっていきました。

○清水さん
「よく効いていた時期があっても、
 そこから転移して大きくなったりしたこともあって。」

ところが現在は…。




○田中薫医師(近畿大学病院)
「わきのリンパ、(がんが)小さくなったままを維持できている。
 要は順調ですってことですね。」

実は、「がんゲノム医療」と呼ばれる方法で効果のある薬が見つかり、
その薬で治療しているのです。




「がんゲノム医療」とは、がん細胞の遺伝子を調べて遺伝子変異を見つけ出し、
効果が見込める薬をピンポイントで選び出す治療。

○清水さん
「遺伝子変異に合わせた薬によって、今、効果が続いている。
 命がつながっている状況なのでありがたい」

しかし、がんゲノム医療には課題も。
厚生労働省によると、検査を受けた患者のうち、
その人に合う薬が見つかったのは約11%。
理由の一つは、がん患者の「遺伝子に関するデータ」が
不十分なことだといいます。

そこで、日本初のがん治療のための
「遺伝子データベース」の作成が動き出しています。

○西原広史教授(慶應義塾大学医学部 ゲノム医療ユニット長)
「この部屋でロボットが遺伝子を抽出する前処理という行程を行っています」




そこにいたのは、人型ロボット。
360度ねじれる両腕で、小さな器具も自在に操ることができます。

ロボットが担うのは、
薬品を混ぜるなどして『細胞から遺伝子を取り出す作業』。

○西原教授(慶應義塾大学医学部 ゲノム医療ユニット長)
「人間は休憩をとらなければいけないが、
 ロボットの場合は休憩をとる必要もない。
 1サンプルだろうと50であろうと100であろうと、
 常に同じ作業を正確に行うことができる。」

通常は人の手で行う精密な作業を、ロボットで24時間自動化することで、
約2倍の患者数の遺伝子を解析にまわすことができるようになったといいます。




さらに、日本に数台しかないというスーパーコンピューター。
この機械では、一般的な遺伝子検査の200倍、
約2万個の遺伝子情報が解析でき、
その膨大なデータを蓄積することができるのです。

〇西原教授(慶應義塾大学医学部 ゲノム医療ユニット長)
「データが蓄積されることによって
 将来、がん患者さんにとってはいい情報が得られる可能性がある」




「がんゲノム医療」で見つけた薬で治療を続ける清水さん。

〇清水さん
「(がんゲノム医療が)治療の選択肢の1つとなって、
 さらには治療に結び付くという状況が一つでも多く、
 早くできるようになればと思う。
 子供がまだ小さいので、できれば成人になって
 彼らが自立してやっていける時くらいまでは生きたい。」

10年後、「がんゲノム医療」はどこまで広がっていくのでしょうか。

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